夕影風の市兵衛 (祥伝社文庫) mobiダウンロード
夕影風の市兵衛 (祥伝社文庫)
によって 辻堂 魁
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内容(「BOOK」データベースより) “算盤侍”唐木市兵衛は、公儀十人目付筆頭片岡信正の依頼で、下総葛飾を目指していた。信正の配下返弥陀ノ介は親友市兵衛の出立に際し、伝言を託す。葛飾近くの貸元に匿われている女宛だった。道中、市兵衛は貸元が人徳者だったが三月前に暗殺されたと知る。跡目を継いだのは美人の三姉妹で、市兵衛はその手下を偶然助けたことから、縄張り争いに巻き込まれ…。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 辻堂/魁 1948年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社勤務を経て執筆業に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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前作「科野秘貼」が、はっきりいってかなり期待を下回ったので、どうなることかと懸念してました。が、久々にやってくれました。素行不良を改めるため期間限定で虚無僧とされた旗本三好家の三男の消息を尋ねて、葛西・松戸まで出向いた市兵衛。そこに待ち受けていたのは、地場の貸元、高利貸、幕府陣屋の役人、虚無僧たちをたばねる大寺の看主が手を組んだ、悪の連合体だった。村々からの寄進を吸い上げ富貴を愉しむ蒲寺の看主・巡景。任侠に生き庶民の味方だった吉三郎親分亡き後、その縄張りを奪わんと画策する貸元・文蔵。権力をチラつかせ、江戸に程近い豊かな土地で甘い汁を吸う陣屋の手附・波岡。そして、百姓たちの汗水たらしてためた小金を強引に集め、為替に投資して暴利を貪る高利貸の隠居。三好家の三男坊の行方は容易につかめず、既に吉三郎親分もほぼ同時期に何者かに惨殺されていた。吉三郎一家の跡目を守る美貌の三姉妹と交流を重ねる中で、次第に抗争に巻き込まれてゆく市兵衛。広々と流れる河川、そこに広がる一面の薄や萱原、青々と豊かに続く田畑、田舎道にぽつんと佇む茶屋、宿場町松戸の賑わいなど、相変わらずの風景描写は美しく巧み。戦闘シーンの描写も秀逸。お高一家の若衆が文蔵一家に襲われる危機を市兵衛が救うシーン。宿の風呂場に乱入する怪物地味た破落戸たちと市兵衛のの乱闘。そして戦国の世の古戦場である国府台の地で繰り広げられる敵味方入り乱れ百人近い人数の果し合い、切り合い。市兵衛の、為替相場や経済への深い理解、戦国の世の国府台合戦の勝因にまで及ぶ知識も披露されている。初期の登場人物であり唐の三姉妹の生き残りである青の存在もうまく絡め、わざとらしさの無い悪役作り、無駄の無い素早いストーリー展開もあって、読者は引き付けられます。これだけの内容であれば、もう少し遊んで、為替相場の暴落による悲劇とか、エピソードを追加してもよかったかも知れませんね。ということで、「まだまだいくらでもネタはあるんだな」ということと、それを具現化する著者の手腕に感心しました。既に最新作が出ているので、そちらも読んでみたいと思います。
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