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歴史とは何か (1962年) (岩波新書)
によって E.H.カー
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いい意味にしろ悪い意味しろ二十世紀の古典という感じがした。内容は1961年のケンブリッジ大学での講演。英国を代表する大学で、これまた英国を代表する歴史家の講演なのでさすがに格調高く感じられ、イギリス史ヨーロッパ史に通じていないわたしのような者にはピンとこない部分も多々あった(なんせ引用が多いのだ)。まそれはそれで仕方ないのだけれど、気にかかったのは、二十一世紀の現代においてこの講演が果たしてどのような意義を持つだろうか、ということ。結局ここで語られていることというのはイギリスかせいぜいヨーロッパを中心とした世界の話であって、こんにちわたしたち日本人が(というか全世界の人たちと言ってもいいと思うけれども)直面しているような歴史観の対立する世界的規模の話は想定外のようである。ただそこは国際政治の現場を経験し、ロシア革命という新しい国家の出現を研究した著者だけあって、最終章の「広がる地平線」で、・・諸民族で全世界が出来上がっていると想像すること自体、今日はじめて可能になったことなのです。と述べ、続けて、・・わたしの気にかかるのは、わたしたち歴史家がイギリスの外に、西ヨーロッパの外に広がりつつある歴史の地平線を考えずにいるということなのですから。として、次なる歴史の段階を予見している。最終章のさらに最後の段階では、・・イギリス-に加えて、恐らくは英語使用諸国-が一般的前進の後に取り残され、力なく諦めて郷愁の沈滞に陥って行くという危機感も率直に吐露している。いかにも没落した帝国の歴史学者にふさわしい言辞だと思ってしまったが、結局、歴史と言うのは栄枯盛衰。著者はそんなことを意図したのではないのでしょうが、わたしなんぞはそう思ってしまった。
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