ロシア語文法の基礎

入門書の定番の筆頭に挙がる佐藤純一先生（NHK … 入門）を教科書に進めて数ヶ月、 （一巻本との入門書して紙幅の制約から止むを得ない）文法説明や練習の簡素な部分を補うため、何気なく手に取りました。…が、正直、初めて紙面を眺めた時は そのあまりの素っ気なさと スッキリし過ぎた構成に「先生について指導してもらう講義に併用する専用教科書か…？」と思って、用途を間違えたと感じましたが、読み進むにつれて簡潔な項目立てと美しい編集・構成に大いに感心しました。ある意味（毎日 何時間も学習に費やせない方が）一年目で購読の取っ掛かりを作るためのガイドとしては、唯一無二（大げさ？）かも知れないと思うほど優れて簡潔な編集・構成です。佐藤純一先生とか 東一夫先生（標準…入門）などの入門書で学習を進めている方、数ヶ月以上の指導を受けている方など、しばし振り返って「前途遼遠…」（笑）と思った時に読むと頭がスッキリします。なぜか？ 本書の特徴は 前書きにあるコメント通りです（以下、要旨です）;============================================================(ちなみに、本書は1980年代後半の出版）「…最近入門書・教科書には…文法を暗記するクラシックなやり方を脱して、た言葉として体得させようとする大きな潮流があります。…基本文形を語のセットで…、日常会話からアプローチする…それぞれ親しみやすい優れたものとなっています…」「それに対して、本書は語形変化をひとつの枠組み（構造と規則）として体系的に理解を求めるもの…」「実は、…あるメーカーの専門学院で若手技術者たちに１年コース（週１時限100分 x 30分）で、ロシア語の文献が読めるようになってもらうという仕事を３０年近く続けています。企業に所属する技術者に 一年間で読解力を身に付けさせるため…30年間の経験を活かして、文法とその演習を中心にテキストを編集している。…いろいろなやり方を試みてみましたが、私の経験の範囲では、…その後の応用範囲がきくという"基礎体力がつく"学習法と思えます。」============================================================なるほどです。これに付け加えることはありませんが…一応 本書の構成を付記すると…タイトルは文法項目そのもので 一課は およそ６〜８ページ程度の構成（これは一般的な入門書と同じ）;しかし、本領は中身にあり、・通常の入門書・テキストには必須のようになっている 冒頭の例文・会話文は無し、・単語の和訳（発音記号、カナ文字のルビなど一切なし）・文法項目（変化表などの）一覧表、・基本文のバリエーションとその和訳対訳を列挙、・その後に10個程度の和訳、露訳の練習問題、先に進むと簡単な読み物がついています。（ついでに言えば、練習問題の回答もナシ…（笑））こんな簡潔な構成ですが、黒一色の小ぶりなフォントのせいなのか、あるいは 余白に余裕のあるページレイアウトのせいなのか 不思議と読みやすいのです。発音記号や練習問題の回答もないなど、 通常であれば不親切さを感じるところですが学習者に負担感が少ないのは それこそ３０年の試行錯誤の賜物なのでしょう。…実際、発音記号などは辞書で調べる練習になりますし、練習問題の答えは、本文と露訳、和訳問題を交互に見れば 見当がつくようになっています。なにより、一般の入門書に輪をかけて簡潔にした内容そのものが自分で何とかする気にさせるのでしょう。このことこそが 本書の本領であって、入門・準備段階では王道ではないかと思います。なお、カセットはありますが入手が困難です。（これまた、他の定番教科書などに付いているCDで練習されれば十分です。（笑））とはいえ、出版社にはCDがむつかしいならネットからのダウンロードでも良いのでお願いしたいです。